ハッセルブラッド X2D II 100C は、同社が誇る最新の中判ミラーレスカメラであり、約1億画素の高解像度センサーを搭載したフラッグシップモデルです。発売日や価格、センサー性能、そして動画機能をあえて省いた設計思想まで、多くの点で注目を集めています。
「X2D II 100Cの詳細スペックや発売日を知りたい」「Hasselbladとはどこの国のメーカーなのか?」といった基本情報を調べている人もいれば、「高価な中判カメラを買う価値があるのか」「自分の撮影スタイルに合うか」を検討している人も少なくありません。
中判カメラは一般的なフルサイズ機よりも価格が高く、重量やバッテリー持ち、対応レンズの選択肢なども購入判断に大きく影響します。さらに、中古市場での流通状況やレンタルサービスの有無など、コスト面・運用面を総合的に比較することも重要です。
また、X2D II 100Cは動画撮影機能をあえて搭載せず、静止画の表現力と操作体験に特化したモデルであるため、他社のハイブリッド機(例:Fujifilm GFX100 IIやSony A7R V)との比較もしやすい立ち位置にあります。中古やレンタルを活用して実機を試しながら、画質・操作感・携行性を確かめるのも有効な方法です。
この記事では、X2D II 100Cの基本仕様からブランドの背景、価格やバッテリー、重量、レンズ互換性、中古・レンタルの実情までを総合的に整理し、「このカメラは本当に買うべきか?」を判断するための具体的な情報をわかりやすく解説します。
- X2D II 100Cの発売日や基本スペックの全体像
- Hasselbladというブランドと中判センサーの特徴
- 価格・重さ・バッテリー・レンズ構成など実用面のポイント
- 競合機との比較を踏まえたX2D II 100Cを買うべき人の条件
X2D II 100Cの特徴と評価
●このセクションで扱うトピック
- X2D II 100Cについて 発売日を整理
- Hasselbladとは どこの国のメーカー
- 中判センサーと画質の特徴
- レビューと作例から見る評価
- レンズ マウントと対応レンズ
X2D II 100Cについて 発売日を整理

X2D II 100Cは、X2D 100Cの正統な後継モデルとして2025年8月26日に発表された最新の中判ミラーレスカメラです。日本国内では同日より発売が開始されており、ハッセルブラッドのXシステムにおける新しいフラッグシップとして位置付けられています(出典:ハッセルブラッド公式プレスリリース)。
搭載されるセンサーは、前モデル同様およそ1億画素の43.8×32.9mm BSI CMOSです。これは一般的なフルサイズ(36×24mm)より一回り大きな中判フォーマットで、豊かなボケ量と階調の滑らかさ、細部描写力の高さが大きな特徴です。X2D II 100Cではこのセンサーをベースに、内部の画像処理エンジンやアルゴリズムが刷新され、高ダイナミックレンジ対応のHDR撮影や、約15.3ストップという広いダイナミックレンジを生かしたトーン再現が可能になっています。明暗差の大きなシーンでも、白飛びや黒つぶれを抑えつつ、後処理での持ち上げに耐えやすいデータを得やすい点が強みです。
ボディ内手ブレ補正は、5軸・最大10段分まで強化されています。従来機X2D 100Cの7段補正から大きく向上しており、適切な撮影姿勢と呼吸を意識すれば、数秒クラスのスローシャッターでも手持ち撮影が現実的になります。例えば、夜の街灯や車のライトの光跡、滝や川の流れを滑らかに表現したい場合、従来であれば三脚が必須だった場面でも、身軽な装備で撮影に臨める可能性が高くなります。手ブレ補正の効きが強くなることで、低感度・低ノイズを維持したまま撮影できるシーンも増え、画質面でもメリットがあります。
また、X2D II 100Cは前モデル同様、1TBの内蔵SSDとCFexpress Type Bスロットを併載する構成です。1億画素・16ビットのRAWデータは1枚あたりのファイルサイズが非常に大きくなりますが、内蔵SSDであればカードの紛失リスクを抑えつつ、大容量の撮影データをカメラ本体に蓄積できます。CFexpressカードを併用すれば、バックアップやメディア交換によるワークフローの柔軟性も確保できます。スタジオ撮影や長時間のロケなど、1日の撮影枚数が多くなる現場においても、ストレージ容量不足への不安を軽減しやすい構成です。
さらに、最大約2370MB/sの書き込み速度・約2850MB/sの読み出し速度に対応することで、連続撮影後の書き込み待ち時間や、PCへのデータ転送効率の面でも実務的なメリットが期待できます。特にテザー撮影や大量のRAWデータを扱う商業撮影では、カメラとPC間のデータ転送速度はワークフロー全体の快適さに直結するため、この点は見逃せないポイントです。
価格帯については、国内の想定価格が約115万円前後、量販店などの実売が100万円強というレンジとなっており、中判ミラーレスとしてはハイエンドクラスに位置します。海外では7,399ドル前後と案内されており、前モデルよりも若干価格を抑えながらも、手ブレ補正やAF、HDR機能など、撮影体験を左右する部分が強化されたバランス型のアップデートと言えます。単にスペックを上げるだけでなく、実際の撮影現場で「扱いやすい中判」を目指した調整が行われている点が、X2D II 100Cの特徴です。
Hasselbladとは どこの国のメーカー

Hasselbladは、スウェーデン西部の港湾都市ヨーテボリに本社を置く老舗カメラメーカーです。もともとは1841年に商社として創業し、1941年にカメラ製造を開始してから本格的に写真業界へ参入しました。特に中判フィルムカメラの分野で頭角を現し、スタジオポートレートやファッション、プロダクト撮影など、画質が最優先される現場で広く採用されてきた歴史があります。
Hasselbladの名を世界的に有名にした出来事のひとつが、宇宙開発の現場です。NASAのアポロ計画において、月面で撮影された数々の写真にHasselbladカメラが用いられたことはよく知られており、「人類が月で撮った写真の多くはハッセルブラッドで記録された」と語られることもあります。この実績は、過酷な環境でも高い信頼性を発揮する機械設計と光学性能の高さを象徴するエピソードとして、今もブランドストーリーの重要な一部になっています。
現在も本社はスウェーデン・ヨーテボリにありつつ、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、アメリカなど各国に拠点を構え、グローバルに製品展開を行っています。日本国内では総代理店を通じてXシステムやHシステム、各種レンズ、アクセサリーが販売されており、主要都市の量販店や専門店で実機に触れられる環境が整えられています。
製品ラインとしては、フィルム時代から続くVシステムやHシステムのほか、ミラーレスのXシステム、Vシステムボディに装着して使うデジタルバックのCFVシリーズなどが存在します。近年はドローンやジンバルで知られるDJIグループ傘下となったことで、デジタル処理技術やモバイル連携などの分野でも進化が加速しており、伝統的な中判メーカーでありながら、現代のデジタルワークフローに適応したブランドへと変化しています。
また、スマートフォンメーカーとの協業を通じ、色再現やレンズ設計の思想をモバイルカメラにも応用している点も近年の特徴です。これにより、プロフェッショナル用途だけでなく、一般ユーザーにも「ハッセルブラッドの色」というコンセプトが広く認知されつつあります。
X2D II 100Cは、この長い歴史と技術的蓄積の上に構築された最新のフラッグシップモデルです。ハッセルブラッドナチュラルカラーソリューションと高ダイナミックレンジ(HNCS HDR)により、自然な色再現と広い階調表現を両立しつつ、AF-Cや被写体検出、10段分のボディ内手ブレ補正など現代的な機能を組み合わせています。スウェーデン発のクラシカルなデザインと、最新の中判デジタル技術を高いレベルで融合させたカメラがX2D II 100Cであり、「どこの国のメーカーなのか」という問いに対して、北欧のものづくりらしい思想が色濃く反映されたブランドであることが読み取れる構成になっています。
参考
・https://www.hasselblad.com/ja-jp/about/
中判センサーと画質の特徴

X2D II 100Cが採用するセンサーは、約100メガピクセルの中判 BSI CMOS センサー(43.8×32.9mm)です。一般的なフルサイズセンサー(36×24mm)と比べると撮像面積は約1.7倍ほど大きく、そのぶん一画素あたりの受光面積に余裕が生まれます。その結果として、同じ条件で撮影した場合でも、より滑らかな階調表現や、高い解像感と立体感のある描写が得られやすい点が中判フォーマットならではの強みです。
このセンサーは裏面照射型(BSI)構造を採用しており、画素の配線をフォトダイオードの背面側に配置することで受光効率を高めています。とくに暗部ノイズの低減や、周辺部までの均一な描写に寄与し、夜景や室内の低照度環境でもディテールを残した撮影がしやすくなります。ハッセルブラッド公式情報では、解像度は11656×8742ピクセル、16ビットカラーに対応した中判センサーとして紹介されており、約281兆色もの色情報を保持できるとされています(出典:ハッセルブラッド公式製品ページ「X2D II 100C」)。
16ビット記録と約15.3ストップのダイナミックレンジにより、極めて広い明暗差を含むシーンでもハイライトとシャドウのどちらかが極端に破綻しにくい設計になっています。16ビット記録では、1チャンネルあたり65,536階調を扱えるため、空のグラデーションや肌のトーンのような微妙な変化も段差なく滑らかに再現しやすくなります。現像ソフトで露出を持ち上げたり、コントラストを調整したりしても情報が粘りやすく、後処理耐性の高いRAWデータを得やすいのが特徴です。
色再現面では、従来のハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション(Hasselblad Natural Colour Solution)をベースに、高ダイナミックレンジ対応の HNCS HDR が追加されています。これは、ハッセルブラッドらしい自然な色調を維持しながら、HDR撮影時にも白飛びや黒つぶれを抑え、ハイライト側・シャドウ側のどちらにも豊富な情報を残すことを狙った仕組みです。HDR HEIFやUltra HDR JPEGとしてカメラ内で処理できるため、HDR専用の複雑なワークフローを組まなくても、撮影直後から高ダイナミックレンジの恩恵を確認しやすくなっています。
中判100MPというセンサー仕様は、単に高解像というだけでなく、「後からのトリミング耐性が高い」という利点ももたらします。例えば、ロケーション撮影で構図の余裕を多めに残しておき、あとから縦位置や横位置、細部の切り出しを柔軟に行うといった運用がしやすくなります。さらに、中判センサーと大口径XCDレンズの組み合わせにより、被写界深度を浅くコントロールしやすく、背景を大きくぼかしたポートレートや、前景と背景の距離感を強調した風景写真など、立体感のある表現を目指しやすいのもポイントです。
このように、X2D II 100Cの中判センサーは、単純な画素数の多さだけでなく、BSI構造、16ビット記録、15.3ストップのダイナミックレンジ、HNCS HDRなど複数の要素が組み合わさることで、プロフェッショナルユースに耐える画質と後処理耐性を備えたプラットフォームとして設計されています。
X2D 100Cとのセンサー・補正比較
X2D II 100Cは、「約100MP・中判センサー」という基本仕様自体は前モデルのX2D 100Cと共通ですが、その周辺を取り巻くダイナミックレンジや手ブレ補正、AFシステムが刷新されています。スペック上の差分を整理すると、次のようになります。
比較表:主要スペックの詳細比較
| 項目 | Hasselblad X2D 100C | Hasselblad X2D II 100C | Fujifilm GFX100 II | Phase One IQ4 150MP(参考) |
|---|---|---|---|---|
| 有効画素数 | 約100MP | 約100MP | 約102MP | 約151MP |
| センサーサイズ | 44×33mm(中判CMOS) | 44×33mm(中判CMOS・BSI) | 44×33mm(中判CMOS・BSI) | 53.4×40mm(中判フルサイズ) |
| ダイナミックレンジ | 最大約15ストップ | 最大約15.3ストップ | 約15ストップ | 約15ストップ以上 |
| 記録ビット深度 | 16ビット | 16ビット | 16ビット | 16ビット |
| ボディ内手ブレ補正(IBIS) | 5軸 7段 | 5軸 10段(中心部)/8段(周辺) | 5軸 8段 | 非搭載(外部サポート前提) |
| AF測距点 | 294点 PDAF | 425点 PDAF+コントラストAF+LiDAR補助 | 約425点 PDAF+AI被写体検出 | コントラストAF(ライブビュー主体) |
| AFモード | AF-S中心 | AF-S/AF-C対応(被写体検出:人物・動物・車両) | AF-S/AF-C(AI被写体認識) | MF中心 |
| HDR撮影 | 非対応(RAW前提) | HDR HEIF/Ultra HDR JPEG対応 | 対応(10bit HEIF・Hybrid Log-Gamma) | 対応(RAWワークフロー) |
| ストレージ構成 | 1TB内蔵SSD+CFexpress Type B | 同上(転送速度最適化) | CFexpress Type B+SDデュアルスロット | 外部ストレージ接続(Capture One連携) |
| ディスプレイ | 3.6インチ チルト式 | 3.6インチ HDRタッチモニター(輝度向上) | 3.2インチ 2軸チルトモニター | 固定式(背面タッチ非対応) |
| EVF | 5.76Mドット | 5.76Mドット(応答性強化) | 9.44Mドット | 外部ビューファインダー使用 |
| 動画機能 | なし | なし(静止画専用設計) | 8K/30p・4K/60p対応 | なし(静止画専用) |
| 重量(バッテリー含) | 約895g | 約840g | 約1030g | 約1390g(バック込み) |
| 発売年 | 2022年 | 2025年 | 2023年 | 2019年 |
解像度そのものは同等ながら、ダイナミックレンジが0.3ストップ拡張されている点は、ハイライト側とシャドウ側の「あと一歩の余裕」に関わる要素です。数値としては小さく見えますが、もともと中判センサーは光を多く取り込める分、限界付近での粘りが画作りに影響しやすく、逆光や夜景のようなハイコントラストな場面で差が出やすくなります。
ボディ内手ブレ補正は、中心部で最大10段、周辺部でも8段に強化されています。CIPA規格での評価なので、実際の撮影条件によって体感値は変わりますが、X2D 100Cと比べてシャッタースピードをさらに数段分遅くできるイメージになります。例えば、従来なら1/60秒が限界だった焦点距離でも、1/8秒やそれ以下まで安全圏が広がるケースがあり、夜景や室内での手持ち撮影の自由度は確実に増しています。
AF測距点は294点から425点へと大幅に増加し、さらにLiDARによる距離情報が加わることで、低照度やコントラストの低い被写体に対する合焦精度が向上しています。AF-Cモードと被写体検出機能の追加により、人物や動物、車両など動きのある被写体を追い続ける撮影にも対応しやすくなりました。中判機は静物撮影のイメージが強いですが、X2D II 100Cでは、ポートレートやスナップ、ライトなスポーツ撮影など、カバーできるジャンルが広がっています。
また、X2D II 100Cではカメラ内HDR機能が実装され、HDR HEIFやUltra HDR JPEGとして出力できるようになった点も、ワークフロー上の違いとして大きいポイントです。X2D 100CではRAWデータを現像ソフトで丁寧に仕上げる前提が強かったのに対し、X2D II 100Cでは撮って出しの段階からHDR特性を活かした仕上がりを確認できるため、ロケ先でのクライアント確認などにも向いた仕様になっています。
このように、二つの機種は「同じセンサー世代」を共有しながらも、周辺機能の強化によって、X2D II 100Cの方が対応できるシーンの幅とワークフローの効率性を一段引き上げた立ち位置になっています。
レビューと作例から見る評価
各種レビューでは、X2D II 100Cの画質に関して非常に高い評価が繰り返し示されています。DPReviewやDigital Camera Worldなどのレビューでは、16ビットで記録される100MPのRAWデータは、色の階調が非常に豊かで、大判プリントや大胆なトリミングにも余裕を持って対応できると分析されています。中判らしい立体感や奥行き感、ボケの滑らかさについても、Xシステムのレンズとの組み合わせで高い完成度を示していると評価されるケースが多く見られます。
作例写真に目を向けると、肌の階調再現や衣服の布地、金属・ガラスといった異なる質感の描き分けに対しての評価が高い傾向があります。特にポートレートでは、肌の微妙な色ムラやハイライトの乗り方が自然で、過度なシャープネス感が抑えられつつ、必要なディテールはきちんと残っているといったコメントがしばしば見られます。風景作例では、遠景の木々の葉や建築物の細部、雲の立体感など、100MPならではの解像感と16ビットの階調が活きていると指摘されることが多いです。
一方で、X2D II 100Cはあくまで静止画専用機という設計のため、動画機能を重視するレビューでは「動画が撮れない」という割り切りに対して注意喚起が行われています。ソニーやフジフイルムの最新ハイブリッド機では、8K/4K動画や高速連写、AIベースの被写体認識AFなどが充実しているため、それらと比較すると「静止画に全振りしたカメラ」という評価に落ち着くことが多くなります。

AFと操作性に関しては、前モデルからの改善が大きなトピックです。Digital Camera Worldなどでは、LiDARによる被写体検出AFやAF-Cの追加により、ポートレートやファッション撮影での歩留まりが向上したとレビューされており、動きのある被写体に対しても「中判機としては十分以上」というニュアンスのコメントが目立ちます。ただし、ソニーやフジフイルムのフラッグシップ機と比較した場合、「AFの絶対速度や追従性能ではまだ一歩譲る」という評価も少なくありません。
EVFについては、576万ドットというスペック自体はハイエンドクラスに属するものの、9.44MドットクラスのEVFを搭載する最新機と比べると、精細感やファインダー内表示の情報量に差があると指摘される場合があります。とはいえ、フレーミングやピントチェックに支障が出るレベルではなく、「中判機として必要十分」という評価に落ち着いていることが多い印象です。
総じて、レビュー全体を俯瞰すると、X2D II 100Cは「静止画専用の中判機として、画質・色再現・デザイン性の3点が非常に高く評価されている一方で、AF・EVF・機能面では他社のハイエンドハイブリッド機に対してやや保守的」というバランスで語られています。画質と撮影体験を最優先する写真家にとっては魅力的な選択肢であり、1台で静止画と動画を完結させたいユーザーにとっては、他システムとの併用を前提に検討されることが多い機種と言えます。
レンズ マウントと対応レンズ
Hasselblad X2D II 100Cは、ハッセルブラッド独自の Xシステムマウント(XCDマウント) を採用しています。このマウントは、同社のXCDレンズ群をネイティブに装着できる設計で、レンズシャッター(リーフシャッター) を全モデルに内蔵している点が最大の特徴です。
このリーフシャッター方式により、一般的なフォーカルプレーンシャッターが制限される1/200〜1/250 秒前後の同調速度を超え、1/2000 秒や1/4000 秒といった高速シャッターでもフラッシュ同調が可能。日中のロケ撮影や大光量ストロボを併用する商業撮影など、ライティングの自由度が大きく向上しています。
XCDレンズは、広角の20 mmクラスから望遠230 mmクラスまでをカバーしながらも、中判としては驚くほどコンパクト。描写は極めてシャープで、X2D II 100Cの100 MPセンサーとの組み合わせにより、立体的な質感描写と自然なボケを両立します。
以下に代表的なXCDレンズを具体的に紹介します。
🟢 Hasselblad XCD 4/45 P
- 焦点距離:45 mm(35 mm判換算 約35 mm)
- 開放絞り:F4
- 最短撮影距離:0.35 m
- 重量:320 g
Xシステムで最軽量のレンズ。日常的なスナップや取材撮影、旅行用に理想的な一本です。フォーカス駆動も静かで、ストリート撮影にも適しています。コンパクトながらハッセルらしい色再現と立体感を楽しめるバランスの良いレンズです。
🟢 Hasselblad XCD 2,8/65 mm
- 焦点距離:65 mm(35 mm判換算 約50 mm)
- 開放絞り:F2.8
- 最短撮影距離:0.5 m
- 重量:727 g
中判らしい奥行きのある描写を備えた標準単焦点。自然な遠近感でポートレートから風景、スナップまで万能に対応します。開放では柔らかいボケを生み、絞ると驚くほどの解像感を発揮する万能レンズです。
🟢 Hasselblad XCD 1,9/80 mm
- 焦点距離:80 mm(35 mm判換算 約63 mm)
- 開放絞り:F1.9(XCDシリーズ最明るい)
- 最短撮影距離:0.7 m
- 重量:1044 g
ポートレート撮影の定番レンズ。開放では極めて浅い被写界深度を活かした柔らかく美しいボケが得られ、肌の質感や瞳の繊細な描写力に定評があります。100 MPセンサーの高解像度を余すところなく引き出しつつ、立体感のある表現が可能です。
🟢 Hasselblad XCD 3,4/75 P
- 焦点距離:75 mm(35 mm判換算 約59 mm)
- 開放絞り:F3.4
- 最短撮影距離:0.6 m
- 重量:347 g
軽量で取り回しやすい“P”シリーズの中望遠。小型ながら中判特有の立体感と高解像を両立し、ロケーション撮影やスナップにも向いています。旅行時など、軽快さを求めるフォトグラファーにおすすめです。
🟢 Hasselblad XCD 2,8–4/35–100 E
- 焦点距離:35–100 mm(35 mm判換算 約28–79 mm)
- 開放絞り:F2.8–4
- 最短撮影距離:0.6 m
- 重量:972 g
標準から中望遠域をカバーするズームレンズで、Xシステムの中でも高い光学性能を誇ります。ステッピングモーター駆動の高速・静音AFを採用し、X2D II 100CのLiDAR AFとの相性も抜群。ポートレート、風景、商品撮影など多用途に対応する万能ズームです。
🟢 Hasselblad XCD f/3.5/30 mm
- 焦点距離:30 mm(35 mm判換算 約24 mm)
- 開放絞り:F3.5
- 最短撮影距離:0.4 m
- 重量:550 g
広角単焦点で、建築やインテリア、風景撮影に最適。ディストーション(歪曲収差)が極めて少なく、精緻なライン表現が求められる商業用途にも対応します。画面周辺までの均一な解像感が特徴です。
🟢 Hasselblad XCD 2,5/90 V
- 焦点距離:90 mm(35 mm判換算 約71 mm)
- 開放絞り:F2.5
- 最短撮影距離:0.67 m
- 重量:551 g
ポートレートにおける“黄金距離”と呼ばれる90 mm域をカバー。新世代Vシリーズ設計で、高速AFと優れた周辺解像を両立します。柔らかいボケと鋭いピント面の対比が美しく、スタジオ撮影から屋外ポートレートまで幅広く活躍します。
🟢 Hasselblad XCD 3,5–4,5/35–75 mm
- 焦点距離:35–75 mm(35 mm判換算 約28–60 mm)
- 開放絞り:F3.5–4.5
- 最短撮影距離:0.6 m
- 重量:1115 g
ハッセル初のズームレンズとして開発されたモデル。単焦点並みの描写力を持ちながら、焦点距離を自在に変更できるため、スタジオ撮影などでの効率性に優れます。風景やポートレート、商品撮影など幅広い被写体に対応します。
旧システムレンズとアダプター運用
純正アダプターを介して、Hシステム、Vシステム、XPanレンズの装着にも対応しています。HシステムレンズではAFや絞り制御も部分的に利用可能で、VシステムやXPanレンズは電子接点を持たないため電子シャッターでの運用が主となります。これにより、往年のハッセルクラシックレンズの質感や描写特性をX2D II 100Cの高解像センサーで再現することが可能です。
また、サードパーティ製アダプターを使えば、Leica MやNikon Fなど他社レンズの装着も可能ですが、多くはマニュアル操作となり、電子通信やAFは非対応です。中判センサーに対してイメージサークルが不足するレンズでは周辺光量落ちやケラレが発生することもあるため、アート的な表現として活かすか、実用範囲で許容するかを見極める必要があります。
X2D II 100Cの真価を引き出すためには、リーフシャッター・AF・手ブレ補正の連携が最適化された純正XCDレンズを中心にシステムを構築するのが最も理想的です。そのうえで、クラシックなH/Vシステムレンズや他社マニュアルレンズを“作品表現のアクセント”として組み合わせることで、機能性と表現性の両面から、唯一無二の中判システムを作り上げることができます。
X2D II 100Cを選ぶべきか
●このセクションで扱うトピック
- 重さとグリップ感のバランス
- バッテリーと撮影可能枚数
- 価格と中古 レンタルの選び方
- 動画機能と他モデルとの比較
- X2D II 100Cは買うべきか? 選ぶべきポイント
- X2D II 100C の選ぶポイントのまとめ
重さとグリップ感のバランス
X2D II 100Cのボディ重量は約730g、バッテリーとメモリーカードを含む総重量は約840gとされています。これは、フルサイズミラーレスの上位機種と比べるとやや重めですが、中判ミラーレスとして見ると十分コンパクトな範囲に収まる数値です。前モデルのX2D 100Cがボディ単体で約790g、総重量約895gだったことを考えると、約7.5%の軽量化が行われており、同じ中判システムでも取り回しやすさが一段階改善されています。
中判カメラはセンサーやシャッターユニットが大型化しやすく、どうしても重量がかさみやすいジャンルです。その中で、X2D II 100Cはボディ設計の見直しと内部構造の最適化によって軽量化を実現しつつ、剛性感や放熱性を確保しています。長時間のロケ撮影や手持ち中心のポートレート撮影でも、重量が理由で極端に疲れやすくなることを避けたい方にとって、この軽量化は実務上のメリットにつながります。
グリップ形状は前モデルから再設計され、より深く指がかかるような形状に変更されています。握った際に手のひらとグリップ面が面でフィットするよう工夫されているため、重量そのものは決して軽くないものの、ホールドしたときの安定感が高い設計です。各種レビューでも、グリップの深さと形状によってレンズ込みの総重量をしっかり支えやすく、長時間の撮影でも手首への負担が分散しやすいという評価が多く見られます。
また、本体カラーはグラファイトグレーのマット仕上げが採用され、金属ボディの剛性感と高級感を両立したデザインになっています。マットコーティングにより指紋や細かな傷が目立ちにくく、撮影現場での取り回しに安心感を与えてくれる点も特徴です。トッププレートやダイヤルのエッジ処理も丁寧に行われており、プロユースに耐える耐久性と、所有欲を満たすデザイン性を両立したカメラと言えます。
ただし、フルサイズ機と比べると、レンズも含めたシステム重量は増えやすくなります。特に、明るい単焦点やズームレンズを複数本持ち歩く場合、バッグやストラップ、三脚の選び方によっては全体の重量バランスが大きく変わります。日常スナップや長距離の徒歩移動を前提とした撮影では、
- パッド付きの太めのストラップを使う
- ウエストベルト付きバックパックで荷重を分散する
- レンズの本数や焦点距離を厳選して携行する
といった工夫をしておくと、X2D II 100Cの描写力と携行性のバランスを取りやすくなります。中判機としては軽量な部類とはいえ、システム全体としてどう運用するかを考えておくことが、快適な撮影体験につながります。
バッテリーと撮影可能枚数
X2D II 100Cは、7.2V/3400mAhクラスの充電式リチウムイオンバッテリーを採用しており、USB-C端子からのPD(Power Delivery)充電に対応しています。専用の外部充電器だけでなく、対応したUSB-C充電器やモバイルバッテリーから直接充電できるため、電源確保が難しいロケーションでも運用しやすい設計です。この仕様は、地方ロケや海外撮影など、コンセントに頻繁にアクセスできない環境で特に役立ちます。
公式データシートや主要販売店の情報によると、CIPA基準でのバッテリーライフは約327枚とされています。CIPA基準は、一定の条件(一定間隔の撮影、電源オン・オフ、ズーム操作などを含む)で測定された共通指標であり、実際の撮影スタイルによって前後しますが、各社のカメラを比較する際の目安として使われます。X2D II 100Cの場合、プレビュー時間を最適化し、HDR機能をオフにした状態では最大466枚程度まで伸ばせると案内されており、静止画専用機として見れば実用的な水準に収まっています。
実写レビューでも、約400〜500枚前後を1バッテリーで撮影できるとする報告が多く、ポートレートや商品撮影など、1日あたりのシャッター回数が比較的読みやすいジャンルであれば、予備1本を追加しておくことで安心感を持って運用できるボリュームと考えられます。ライブビューを長時間表示させたり、背面モニターの輝度を高く設定したり、HDR撮影や長時間露光を多用したりすると消費は増えやすいため、撮影内容に応じて想定枚数に余裕を見ておくと安心です。
バッテリー運用のポイントとしては、次のような点が挙げられます。
長時間のロケ撮影では予備バッテリーを1〜2本用意しておく
: ロケハンを含む終日撮影や、屋外でのポートレート・ファッション撮影では、プレビューや設定変更の回数も増えがちです。1本あたり400〜500枚程度の実績を目安に、撮影予定枚数の1.5〜2倍程度の余裕を見て予備バッテリーを準備しておくと、バッテリー残量を気にせず撮影に集中しやすくなります。
USB-C PD対応モバイルバッテリーを活用して移動中に充電する
: 移動時間や休憩時間を活用してバッテリーを充電できる点は、X2D II 100Cの大きな利点です。PD対応のモバイルバッテリーと、適切な出力(例:30Wクラス以上)のUSB-C充電器を用意しておくことで、ホテルやスタジオに戻る前のタイミングでもこまめに充電が行えます。バッテリーを複数本ローテーションさせる運用と組み合わせることで、電源に関する不安をさらに軽減できます。
HDR撮影や長時間露光を多用する場合は消費が増えるため、運用計画を立てておく
: HDR撮影では複数枚の連続撮影とカメラ内処理が発生し、長時間露光ではシャッターが開いている時間が長くなるため、通常撮影よりもバッテリー消費が増えやすくなります。夜景撮影やライトトレイル、星景撮影などをメインとする日には、通常より多めのバッテリーを持参する、あるいは撮影開始前にフル充電状態を必ず確認するなど、事前準備が重要です。
中判機として見ると、X2D II 100Cのバッテリー持続時間は「極端に長い」わけではないものの、PD充電対応と予備バッテリー運用を組み合わせることで、実務上は大きな支障なく使えるレベルに収まっています。撮影スタイルや使用する機能によって消費は変動しますが、自身のワークフローに合わせて電源計画を立てておけば、安心して現場に持ち出せるカメラと言えます。
価格と中古 レンタルの選び方
X2D II 100Cのボディ単体価格は、日本国内ではおおよそ100万円前後、海外では**7,399ドル(USD)**前後と報じられています。前モデルのX2D 100Cよりも価格が若干抑えられた一方で、10段分のボディ内手ブレ補正、HDR対応、LiDAR AFなどの機能強化がなされており、静止画特化のプロフェッショナルおよびハイアマチュア層に向けたハイエンドモデルとして、性能面で十分な価値を備えた価格設定となっています。
特筆すべきは、同クラスの中判機種であるFujifilm GFX100 II(実勢価格:約110〜120万円)と比較しても、やや低価格でありながら堅牢なビルドクオリティと1TBの内蔵SSDを標準搭載している点です。外部ストレージを減らせるため、導入コストの総額では優位に立つケースも少なくありません。
新品・中古・レンタルの活用イメージ
| 利用形態 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 新品購入 | メーカー保証付きで、最新ファームウェア環境下で安心して運用できる。長期的な資産価値が維持されやすい。 | 初期投資が大きく、購入直後の減価リスクがある。 |
| 中古購入 | コストを抑えつつ長期所有を前提にできる。既存のXシステム資産との組み合わせも柔軟。 | シャッター回数や外装状態、内蔵SSDの書き込み履歴の確認が必須。販売店の保証条件を要チェック。 |
| レンタル | 短期案件や試用、作品撮影などに最適。最新機を低リスクで体験できる。 | 長期レンタルでは総額が新品・中古の購入価格に近づく場合がある。保険や破損リスクにも注意。 |
中古で購入する場合
中古市場では、X2D II 100Cおよび旧モデルのX2D 100C、さらにXシステムのレンズが徐々に流通し始めています。特にボディを新品で導入し、レンズを中古で揃える構成は、コストパフォーマンスを重視するフォトグラファーに人気の手法です。
主な中古販売店
- マップカメラ:
中古・新品の両方を扱う大手。X2D II 100Cの検索結果がすでに表示されており、保証付き中古の入荷も見込まれます。
MapCamera(公式サイト) - カメラのキタムラ 新宿北村写真機店:
旧モデル「X2D 100C」の中古が多数掲載。状態「A〜AB」で80〜90万円台が中心。
カメラのキタムラ中古 - フジヤカメラ:
新品価格1,039,500円で掲載中。中古が出回り始めるまでの価格指標としても参考になります。
フジヤカメラ(X2D II 100C製品ページ)
中古購入時は以下の項目を必ず確認しておくことが推奨されます。
- シャッター回数/稼働時間
- 内蔵SSDの書き込み履歴
- レンズマウント部の状態
- 保証内容(初期不良対応・返品ポリシー)
旧モデルX2D 100Cも、画質自体は現行機とほぼ同等であるため、手ブレ補正(7段)やAF速度の違いを許容できるなら、価格対性能比では非常に優秀な選択肢です。
レンタルで試す場合
高価な機材であるため、購入前に実際の現場で試すというアプローチも非常に有効です。
以下のレンタル業者では、Hasselblad Xシステムボディやレンズを取り扱っています。
主なレンタルサービス
- MAP RENTAL(マップレンタル)
中期〜長期レンタルに対応。
例:X2D II 100C 月額 58,300円(12ヶ月) / 30,800円(36ヶ月) プランなど。
MAP RENTAL(公式サイト) - ビデオエイペックス
中判デジタル機材の取り扱いが豊富で、X2Dシリーズを取り寄せ対応できるケースも。
ビデオエイペックス(レンタル) - 渋谷レンタル(Shibuya Rental)
旧モデルのX2D 100Cを中心に短期レンタルを提供。ポートレートや商品撮影などで実機を試すのに最適。
渋谷レンタル(公式サイト)
レンタル活用時は、次のポイントを押さえておくと安心です。
- レンタル機の保険内容・破損時補償を確認する
- レンタル期間と総費用が購入コストに近づかないかチェック
- 実際の撮影環境(スタジオ/屋外)で操作感・ワークフローの相性をテストする
購入判断を下す前に:X2D II 100Cは、中判の持つ立体的な描写力と、洗練された操作体系を備えた静止画専用機です。価格的には高額ですが、
- 静止画のクオリティを最優先する
- 動画機能は不要
- 長期的に資産価値を保てるカメラが欲しい
というユーザーには、非常に満足度の高い選択となるでしょう。
一方で、「まだ中判を試したことがない」「AFや機動力を重視する」方には、レンタルや旧モデル中古の体験導入が賢明です。実際に使ってみることで、X2D II 100Cが自分の撮影スタイルに合うかどうかを、確信をもって判断できます。
動画機能と他モデルとの比較
Hasselblad X2D II 100Cには動画撮影機能が搭載されておらず、静止画専用機として設計されています。静止画クオリティに全てのリソースを注ぐという方向性は、動画を重視するハイブリッド機とは明確に異なります。
その上で、競合となる代表モデルとともに、動画機能/静止画機能を含めた複数モデルとの比較を行い、X2D II 100Cの位置づけを明確にします。
比較機種一覧
以下は、撮影用途の異なるカメラを含めた比較表です。動画機能の有無、センサーサイズ・画素数、目立つスペック差を整理しています。
| モデル名 | センサー/画素数 | 動画機能 | 主な特徴・位置付け |
|---|---|---|---|
| X2D II 100C | 中判 43.8×32.9mm/100MP | なし | 静止画特化。最大15.3ストップのダイナミックレンジ、10段分ボディ内手ブレ補正、1TB内蔵SSD。 |
| Fujifilm GFX100 II | 中判 43.8×32.9mm/102MP | 8K/30p・4K/60pなど高機能動画対応 | 静止画・動画両立型中判。ハイブリッド用途を幅広くカバー。 |
| Sony A7R V | フルサイズ 61MP | 8K/24p・4K/60p対応 | 高解像+動画・AF性能重視のハイブリッド機。携行性も比較的高い。 |
| Hasselblad X2D 100C(旧モデル) | 中判 43.8×32.9mm/100MP | 動画なし | X2D II の先代機。手ブレ補正7段、AF測距点少なめ。コストを抑えて中判体験を可能に。 |
| Pentax 645Z | 中判 44×33mm/51MP(旧世代) | 動画機能限定/低速 | “リーズナブル”に中判を楽しみたい方向け。画素数や機能面では最新機種に劣る。 |
解説:それぞれの立ち位置と選び方
- X2D II 100Cは動画機能を持たないため、静止画撮影・写真作品・印刷用途を最優先とする撮影者にとって魅力が高い選択肢です。
- GFX100 IIは中判ながら動画機能も充実しており、静止画+動画両方をこなしたいユーザーにとって現実的なオプションです。
- Sony A7R Vはセンサーサイズは中判より小さいものの、高解像+動画+AF性能+携行性をバランス良く求める場合に適しています。
- 旧モデルのX2D 100Cは、最新モデルの機能すべてを必要としない場合や、価格を抑えて中判体験をしたい場合の現実的な選択肢です。
- Pentax 645Zのような旧世代中判モデルは、最新機能を求めないが“中判描写”を経験したいユーザーにはエントリーとして有効です。
おすすめの“どちらを選ぶか”判断基準
- 動画撮りも必要か? → 必要ならGFX100 IIもしくはA7R V。動画不要ならX2D II 100Cが候補。
- 中判フォーマットの深みを撮影に活かしたいか? → 中判ならではの立体感・階調・色表現を重視するならX2D II 100CまたはGFX100 II。
- 携行性・撮影スピード・AF精度を重視するか? → 撮影現場が動き・動画に富むならA7R Vやハイブリッド機が優位。
- 予算・システム整備を考慮するか? → 中判+レンズ資産構築が可能な撮影スタイルならX2D II 100Cを。予算を抑えたいなら旧モデルや別フォーマットも検討。
以上の比較を整理すると、X2D II 100Cは「静止画撮影において最高峰のクオリティを追求したい」と考えるフォトグラファーには最適ですが、「動画も1台でこなしたい」「機動力・AF速度を重視したい」といった用途には他のハイブリッド機がフィットしやすいと言えます。利用目的を明確にすることで、機種選定におけるミスマッチが少なくなります。
X2D II 100Cは買うべきか? 選ぶポイント
ここまでの内容を踏まえ、X2D II 100Cを検討する際に重視すべきポイントを整理します。
- 中判センサー+100MP+16ビット記録による圧倒的な画質を求めるか。
- 動画機能が不要、または別システムで動画撮影を行う環境があるか。
- 1TB内蔵SSD・HNCS HDR・10段手ブレ補正といった静止画ワークフロー特化の機能を活かせる撮影スタイルか。
- XCDレンズ群中心の運用コストを許容できるか、または既存のXシステム資産をすでに所有しているか。
価格面では、GFX100 IIなどのハイブリッド中判機と比較しても大きな差はなく、むしろX2D II 100Cのほうが若干安価に購入できることもあります。ただし、連写速度や動画機能の面ではGFX100 IIが優位です。そのため、購入を検討する際は「中判の描写力と色再現性をどこまで重視するか」が最重要の判断軸になります。
最終的に、X2D II 100Cは 「中判ならではの立体感・階調・色の深みを、シンプルな操作系で追求したいフォトグラファー」 に最適なカメラです。
一方で、「1台でスチルと動画を両立したい」、「スポーツや動体を撮りたい」 というユーザーにとっては、GFX100 IIやSony A7R Vといったハイブリッド機の方が適しています。
購入を迷っている場合は、まずレンタルや店頭でのタッチ&トライを通じて、重さ・操作性・EVFの見え方を実際に体験し、自分の撮影スタイルや作品ジャンルに合致するかを慎重に見極めるのが望ましいでしょう。投資額が大きいからこそ、試用を経たうえで判断することが、後悔のない選択につながります。
X2D II 100Cは買うべきか? 選ぶべきポイント
ハッセルブラッド X2D II 100Cの購入を迷っている方にとって、最も重要なのは「自分の撮影スタイルと投資価値が本機に合っているか」を見極めることです。単に“高画質な中判カメラ”というだけでなく、ライフワークや撮影目的によって適性が大きく変わるモデルだからです。以下では、購入を検討するうえで押さえるべき判断材料を、幅広い観点から整理します。
1. 静止画の表現力にどれだけ価値を置くか
X2D II 100Cの最大の魅力は、100メガピクセル中判センサーと16ビットカラー記録がもたらす圧倒的な階調表現力です。
特に、
- 肌の微妙なトーンを繊細に再現したいポートレート撮影
- 白飛びや黒つぶれを避けたい商品・広告撮影
- 風景の明暗差を豊かに表現したいアート作品づくり
といったジャンルでは、フルサイズ機との差が明確に現れます。撮影後のRAW現像でもデータが破綻しにくく、色の再現性や立体感は一線を画します。
一方で、SNS投稿中心やオンライン納品が多いワークフローでは、100MPの解像力がオーバースペックになる可能性もあります。作品の最終出力サイズを考慮して判断するとよいでしょう。
2. ワークフローとPC環境を整えられるか
1枚あたり約200MBにも及ぶRAWデータを扱うため、ストレージ容量・転送速度・現像ソフトの処理性能が重要です。
内蔵1TB SSDとCFexpress Type Bスロットを搭載しているため撮影環境は快適ですが、編集側の負荷が増す点には注意が必要です。
- 高速SSD(NVMe)搭載のPC
- GPU支援対応の現像ソフト(例:Adobe Lightroom Classic、Capture One Pro)
- バックアップ用外付けSSDまたはNAS
こうした環境を整えることで、X2D II 100Cのポテンシャルを最大限に引き出せます。もし作業環境を整える余裕がない場合、同じ中判でもデータ容量の軽いGFXシリーズを検討するのも現実的です。
3. 動画撮影が必要かどうか
X2D II 100Cは動画撮影機能を完全に省いており、静止画に全振りした設計です。
この潔い割り切りは、「1枚の写真にすべてを注ぎたい」フォトグラファーにとっては大きな魅力ですが、映像制作やSNSショート動画などを業務に含めたい人には不向きです。
動画が必要な場合は、Fujifilm GFX100 II(8K対応)やSony A7R Vなど、ハイブリッド志向のカメラが選択肢になります。
4. 機動性と撮影スタイルの相性
重量は約840g(バッテリー込み)と中判としては軽量ですが、レンズを含めると1.5〜2kgほどになることもあります。
したがって、
- 屋外ロケやスナップ中心 → 機材の携行性が課題
- スタジオや定点撮影中心 → 重量の影響が少なく、安定した操作が可能
このように撮影スタイルによって体感的な使いやすさが大きく異なります。軽快さを重視するなら、より小型のフルサイズ機も検討する価値があります。
5. レンズシステムと将来性
X2D II 100CはハッセルブラッドXマウントを採用しており、XCDレンズ群はどれもリーフシャッターを内蔵。全速域でフラッシュ同調できるため、ストロボ撮影に強みを持ちます。
ただし、XCDレンズは1本あたり30〜50万円台が中心で、システム構築コストは高めです。
- XCD 55Vなど軽量な新世代レンズ
- 中古のXCD 45P(軽量で評価も高い)
などを組み合わせれば、予算を抑えつつ中判らしい描写を楽しむ構成が可能です。
6. ブランド価値・所有満足度
ハッセルブラッドはスウェーデン発祥で、NASAの月面撮影でも使われた伝統あるブランドです。
その系譜を継ぐX2D II 100Cは、撮影体験そのものが「所有する喜び」に直結します。
撮影ツールという枠を超え、創作意欲を高める存在としての価値を重視する人にとって、このブランドは特別な意味を持ちます。
7. 中古・レンタルで試してから判断する
新品価格が約100万円と高額なため、購入前にレンタルや中古体験を通じて「自分の現場で使えるか」を確認することが失敗を防ぐ鍵です。
ハッセルブラッド正規取扱店や、Map Rental・Rentioなどの専門レンタルサービスでは、数日単位で貸し出しが可能です。
また、中古市場では前モデルのX2D 100Cが60〜70万円台まで下がっており、「まずは中判を試す」導入機として検討するのも合理的な選択です。
8. 総合的な判断ポイント
最終的に、X2D II 100Cを選ぶかどうかは以下のように整理できます。
| 判断軸 | 該当する人は購入向き | 該当しない人は再検討 |
|---|---|---|
| 静止画画質を最重視 | ○ | × |
| 動画撮影も行う | × | ○ |
| 中判の立体感・色表現に魅力を感じる | ○ | × |
| レンズ・周辺機材に投資できる | ○ | × |
| 軽快さ・連写速度を重視 | × | ○ |
X2D II 100Cは、「最高の静止画を追求する人」にとっての理想的な一台です。
中判特有の奥行き、ハッセルブラッドの色再現、ミニマルなUI──そのすべてが“撮る”という行為を純粋に楽しませてくれます。
一方で、動画やスピードを求める撮影スタイルには適していません。
迷っているなら、まずはレンタルや中古で体験し、ファインダー越しの感覚が自分に合うかを確かめてください。
その「一枚の質感」に惹かれるなら、X2D II 100Cは間違いなく“買うべきカメラ”のひとつになるでしょう。
X2D II 100C の選ぶポイントのまとめ
本記事のまとめを以下に列記します。
- X2D II 100Cは中判100MPと16ビット記録で最高水準の静止画画質を実現するカメラ
- 15.3ストップのダイナミックレンジとHNCS HDRで逆光や強い光にも強い描写性能を誇る
- 5軸10段分の手ブレ補正で三脚なしでも夜景やスローシャッター撮影が安定して行える
- LiDARと被写体検出AFの搭載により前モデルよりもポートレート撮影性能が大幅に向上
- 動画機能を省いた設計で静止画専用機としてシンプルかつ直感的な操作性を実現している
- X2D II 100Cは総重量約840gで中判としては軽量だがフルサイズ機よりは重めの設計
- 価格は約100万円前後でGFX100 IIなど中判ハイブリッド機と同等レンジに位置する
- 1TB内蔵SSDとCFexpress Type B対応で大容量RAW撮影にも柔軟なワークフローを構築可能
- XCDレンズとリーフシャッター連携で全速フラッシュ同調など多彩なライティングを実現
- Hasselbladはスウェーデン発祥の老舗ブランドで中判カメラ市場を牽引してきた存在
- CIPA基準327枚でUSB-C PD対応により予備電池と併用すれば長時間撮影も安心できる
- GFX100 IIやA7R Vと比較すると動画性能は劣るが静止画描写力と色再現性で際立つ
- 中古購入やレンタルを活用すれば実際の撮影環境で操作性や画質を検証できる利点あり
- レビューでは肌の質感や風景描写が高評価で静止画重視のフォトグラファーに好評
- X2D II 100Cは動画を別システムに任せ静止画表現を極めたい写真家に最適な一台


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