ストロボとフラッシュの違いを理解することは、写真撮影の基本です。初心者向けにストロボとフラッシュの違いを解説し、さらにストロボとスピードライトの違いも紹介します。
本記事では、ストロボの種類と特徴や、初心者向けの使い方、自然光との違い、リフレクターの役割についても詳しく解説します。
さらに、GN値や色温度、ハイスピードシンクロ、ポートレート撮影におけるストロボの活用方法も学べます。
ストロボとフラッシュの違いを徹底解説
ストロボとフラッシュは、どちらも写真撮影における重要な光源機材ですが、その使われ方や用途に違いがあります。特に初心者にとっては「ストロボ」と「フラッシュ」という言葉の使い分けが混乱しやすいポイントです。
本記事では、これらの違いを明確にし、さらに「スピードライト」との違いや、自然光とストロボの効果の比較、リフレクターの役割についても解説します。
プロから初心者まで、幅広い場面で役立つストロボの知識をわかりやすくまとめ、写真の仕上がりに差をつけるためのテクニックをご紹介します。
初心者向けに解説!ストロボとフラッシュの違い
ストロボとフラッシュの違いについて、初心者にとっては少し分かりにくいかもしれません。まず結論から言うと、ストロボとフラッシュは基本的に同じ機能を持つ機器です。ただし、使われる場面や言葉の使い方が異なるため、それが違いとして認識されています。
ストロボは、主にスタジオやプロの撮影現場で使用される強力な光源を指し、撮影機材の一部として扱われます。一方で、フラッシュはカメラに内蔵されている光源や小型の外付けフラッシュのことを指すことが多いです。カメラに搭載されているフラッシュは、日常的なシーンで手軽に使える点が特徴です。
このように、ストロボはプロ仕様、フラッシュは一般的に使われる機器という使い分けがされていますが、機能としてはどちらも瞬間的に強い光を発光し、写真の露出を補正するための道具です。
ストロボとスピードライトの違いとは?
ストロボとスピードライトは、どちらも写真撮影に使われる外付けの光源ですが、使用されるシーンや機能に若干の違いがあります。
ストロボは、プロの撮影現場やスタジオ撮影で使われる強力な照明機材です。大きくてパワフルな光を発するため、広い範囲を均一に照らすことができます。また、調光の自由度が高く、多灯ライティングに適している点が特徴です。
一方で、スピードライトは、持ち運びしやすい小型の外付けフラッシュです。主にカメラに取り付けて使われ、軽量で機動性に優れているため、屋外やイベント撮影に最適です。さらに、TTL調光(カメラが自動で光量を調整する機能)を搭載していることが多く、初心者でも扱いやすい点がメリットです。
結論として、ストロボは大規模な撮影で使用され、スピードライトはポータブルな撮影で使われると覚えておくと良いでしょう。
自然光とストロボ、写真の仕上がりはどう変わる?
自然光とストロボを使った撮影では、仕上がりに大きな違いが生じます。まず、自然光は太陽光を利用した撮影方法で、柔らかく広がる光が特徴です。特に屋外での撮影や窓際での撮影では、自然な色味と陰影を作り出すため、ポートレートや風景写真に向いています。
一方、ストロボは瞬間的に強い光を発するため、明るさをコントロールしやすく、暗い場所でも適切な露出で撮影が可能です。特に、被写体に対して正確に光を当てられるため、背景をぼかしながら被写体を引き立たせるポートレート撮影に効果的です。
ただし、自然光は時間や天候に左右されやすく、撮影できる条件が限られます。一方で、ストロボは照明のコントロールがしやすいものの、光が強すぎると人工的な印象(右画像)になることもあるため、光の調整が重要です。最適な光源を選ぶことで、写真の仕上がりが大きく変わるでしょう。
ストロボとリフレクター、光の当たり方の違いを知ろう
ストロボとリフレクターは、どちらも光を扱うための道具ですが、その役割と光の当たり方に大きな違いがあります。
ストロボは、瞬間的に強力な光を発し、被写体に直接光を当てて明るさを補正するための機器です。これにより、暗い場所や逆光のシーンでも被写体をはっきりと撮影することができます。一方、強い光が当たるため、シャドウ(影)が強く出てしまうことがあるため、自然な印象を保つには光のコントロールが重要です。
リフレクターは、自然光やストロボの光を反射させて、被写体にやわらかく光を当てるための道具です。光を直接当てるのではなく、反射させることで光を拡散させ、影を弱めたり、被写体に自然な明るさを与えることができます。そのため、ポートレート撮影などで自然な仕上がりを求める際に非常に有効です。
結論として、ストロボは直接的な光を与え、リフレクターはその光を調整して柔らかくする道具として補完的に使用されます。状況に応じて両者を使い分けることで、よりプロフェッショナルな仕上がりを実現できるでしょう。
ストロボを使いこなすための基礎知識
ストロボには大きく分けて「ジェネレータータイプ」と「モノブロックタイプ」の2種類があります。それぞれ異なる特徴を持ち、撮影シーンに応じて使い分けることが重要です。
ジェネレータータイプは、発光部分と電源が分離しており、プロの現場や連続撮影に適しています。一方、モノブロックタイプは電源と発光部が一体化しているため、持ち運びやすく、屋外やロケ撮影に便利です。
この記事では、これらのストロボの特徴を理解し、効果的な撮影に活かすためのポイントを解説します。
知っておきたい!ストロボの種類とその特徴
ストロボには、主にジェネレータータイプとモノブロックタイプの2つの種類があります。それぞれの特徴を知っておくことで、シーンに合わせた最適な選択が可能になります。
ジェネレータータイプは、発光部分と電源部分が分離しているタイプで、プロの現場でよく使われます。電源(ジェネレーター)からヘッドに供給される電力を効率よく使えるため、連続撮影や大規模な撮影に適しています。また、複数のストロボを一括で管理できるため、光量調整が容易です。
商品例)
・Profoto Pro-10(メーカHP こちら)
・Elinchrom ELB 1200(メーカHP こちら)
一方、モノブロックタイプは、電源と発光部分が一体型となっているコンパクトなタイプです。持ち運びが簡単で、ロケ撮影や移動が多い撮影で便利です。特に、電源の確保が難しい屋外では充電式モノブロックが重宝されます。
商品例)
・Profoto B10X Plus
・Godox SK400II
・Westcott FJ400
このように、撮影シーンや目的に応じて、ジェネレータータイプかモノブロックタイプを選択することが、効率的で効果的な撮影を可能にします。
以下は、ジェネレータータイプとモノブロックタイプのストロボを比較した表です。項目を追加し、数値データもできる限り盛り込んでいます。
項目 | ジェネレータータイプ | モノブロックタイプ |
---|---|---|
電源構造 | 分離型(発光部と電源部が分かれる) | 一体型(電源部と発光部が一体) |
最大出力 | 2400Ws(例:Profoto Pro-10) | 400Ws(例:Godox SK400II) |
リサイクルタイム | 0.02~0.7秒(モデルにより異なる) | 0.1~1.8秒(モデルにより異なる) |
使用用途 | スタジオ撮影、連続撮影、大規模撮影 | ロケ撮影、ポートレート、商品撮影 |
重量 | 約10~15kg(ジェネレーター+ヘッド) | 約1~3kg(本体のみ) |
ポータビリティ | 持ち運びが不便 | 持ち運びが簡単 |
バッテリー駆動 | なし | あり(充電式モデルが多い) |
光量調整 | 複数のストロボを一括で管理可能 | 個別管理(1台ずつ) |
適した撮影シーン | 大規模な商業撮影、ファッション撮影 | 屋外撮影、ロケーション撮影、日常撮影 |
価格帯 | 高価(50万円以上) | 中~高価格(5~15万円程度) |
対応する光量調整機能 | TTL、マニュアル調光対応 | TTL、マニュアル調光対応 |
フラッシュ持続時間 | 1/50,000~1/800秒 | 1/2000~1/800秒 |
初心者向けストロボの基本的な使い方
初心者にとって、ストロボの使い方は難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえればシンプルです。ここでは、初めてのストロボ撮影に役立つ基本的な手順を紹介します。
まず、カメラにストロボを装着し、電源をオンにします。カメラの撮影モードは、初心者でも使いやすい「Aモード」(絞り優先)や「Pモード」(プログラムオート)に設定することをおすすめします。次に、調光モードを「TTLオート」に設定しましょう。このモードではカメラが自動的に光量を調整してくれるため、光量の設定に悩むことがありません。
また、バウンス撮影も初心者にはおすすめです。天井や壁に光を反射させることで、被写体にやわらかい光を当てることができ、直射の強い光による不自然な影を防ぐことができます。
これらの基本を押さえれば、初めてのストロボ撮影でも自然で美しい写真を撮影できるでしょう。
ストロボの「GN値」とは?光量の計算方法を解説
ストロボのGN値(ガイドナンバー)は、ストロボの発光量を表す指標です。この数値を使うことで、ストロボの光がどれだけ遠くまで届くか、またどの程度の絞り値で適正露出になるかを計算できます。
GN値は「GN = 絞り値 × 被写体までの距離」という計算式で求めることができます。例えば、GN43のストロボを使用し、被写体までの距離が5メートルの場合、絞り値は「43 ÷ 5 = F8.6」となり、F8前後の設定で適正な露出が得られます。
また、ISO感度が変わるとGN値も変化します。ISO感度を上げると、ストロボの光量が届く範囲が広がるため、撮影条件に合わせてISO感度も調整すると良いでしょう。これにより、適切な光量で撮影するための計算が可能になります。
以下に、初心者でもわかりやすいように、GN値(ガイドナンバー)を使った計算の参考表を作成しました。ISO感度を100に設定した際の数値です。
(もし、ISO感度を倍(200)にした場合は、下記表の値を1.4倍(√2倍)にしてください。)
被写体までの距離(m) | GN24の場合 (F値) | GN36の場合 (F値) | GN43の場合 (F値) | GN60の場合 (F値) |
---|---|---|---|---|
1メートル | F24 | F36 | F43 | F60 |
2メートル | F12 | F18 | F21.5 | F30 |
3メートル | F8 | F12 | F14.3 | F20 |
4メートル | F6 | F9 | F10.75 | F15 |
5メートル | F4.8 | F7.2 | F8.6 | F12 |
10メートル | F2.4 | F3.6 | F4.3 | F6 |
この表を使えば、撮影シーンに応じて適切な絞り値(F値)を簡単に確認できます。また、ISO感度が上がるとGN値も増加するため、ISO感度が高い場合はさらに遠距離での撮影が可能になります。
ストロボの色温度を理解して正確な色を再現しよう
色温度は、ストロボの光がどの程度の色味を持つかを示す指標です。一般的なストロボの色温度は5500K前後で、これは晴天時の太陽光に近い数値です。
しかし、ストロボの出力や使用するディフューザーによっても色温度は変化するため、色味にズレが生じることがあります。
例えば、色温度が低すぎると写真が赤みを帯び、高すぎると青みがかった写真になります。ホワイトバランスの設定で色温度を調整することで、色のズレを防ぎ、被写体を正確な色で撮影することが可能です。
また、ストロボを使う場合でも、光を反射させる壁の色や環境によっては、色かぶりが起こることがあります。そのため、色温度メーターやホワイトバランスの微調整を活用して、自然な色再現を心がけましょう。
ハイスピードシンクロで一歩進んだストロボ撮影を
ハイスピードシンクロとは、通常のストロボ撮影では使用できない高速シャッタースピードを使って撮影できる機能です。この機能を使うことで、明るい屋外でも開放絞りで背景をぼかしたポートレートを撮影することが可能になります。
通常、ストロボ撮影ではシャッタースピードが1/200秒程度に制限されますが、ハイスピードシンクロを使えば1/1000秒や1/2000秒といった高速シャッタースピードでも、ストロボ光を正確に当てることができます。これにより、逆光での撮影や日中シンクロでも背景を飛ばさず、主題に光を当てることが可能です。
ただし、ハイスピードシンクロを使用すると光量が分散されるため、通常の発光よりもパワーが必要です。したがって、バッテリーの消耗が早くなる点に注意が必要です。
この機能を上手に使いこなすことで、さらにプロフェッショナルな撮影が実現します。
ポートレート撮影で使えるストロボテクニック
ポートレート撮影においてストロボを使うことで、被写体をより魅力的に引き立てることができます。ここでは、ポートレート撮影に役立ついくつかのストロボテクニックを紹介します。
まず、キャッチライトを入れることが重要です。これは、瞳の中に光を反射させることで、目元に輝きを与えるテクニックです。ストロボを適切な角度から当てることで、目に自然な光が入り、表情が明るく見えるようになります。
また、バウンス撮影も効果的です。ストロボの光を天井や壁に反射させ、被写体にやわらかい光を当てることで、直射光による強い影を防ぎます。これにより、自然で立体感のある仕上がりが得られます。
さらに、逆光のシーンでは日中シンクロを使用し、ストロボで影を補正しながら明るい背景と被写体のバランスを整えます。このようなテクニックを駆使することで、ポートレート撮影の質を一段と高めることができます。
記事のまとめ
本記事のまとめを以下に列記します。
- ストロボとフラッシュは基本的に同じ機能を持つ光源機材である
- ストロボは主にスタジオやプロの撮影現場で使われる
- フラッシュはカメラ内蔵や小型の外付けフラッシュのことを指すことが多い
- ストロボは強力な光を提供し、広い範囲を均一に照らす
- フラッシュは手軽に使え、日常的な撮影に適している
- ストロボは光量調整の自由度が高い
- ストロボは多灯ライティングに適している
- スピードライトは持ち運びやすく、ロケやイベント撮影に便利
- ストロボは被写体に直接強い光を当て、明るさを補正する
- リフレクターは光を拡散させ、自然な明るさを与える
- 自然光は柔らかい光を提供し、時間や天候に影響される
- ストロボは暗い場所でも適切な露出を確保できる
- ジェネレータータイプのストロボは大規模な連続撮影に向く
- モノブロックタイプのストロボは持ち運びやすくロケ撮影に便利
- 光源を選ぶことで写真の仕上がりが大きく変わる
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